岩手県の遠野市に宿泊して、早朝に城山散策をしました。
戦国時代から江戸時代にかけて、主に「遠野南部氏」の居城として、中世山城の構造を残したまま、近世城郭として活用されたという、変わった経歴を持つ城です。
曲輪の遺構が必見らしいのですが、雪が積もってこんもりとしてしまい、全くわからない状態でした。
石垣がある城郭なら、凍てついた石垣を楽しむことも出来るのですが、それもありません。
今は国史跡に指定され、天守閣風の展望台もあるそうですが、当時は何もなく雪山を一人で登っていきました。
人が見たら、死地に向かっているのではないかと誤解されそうです。
写真は、山頂の本丸で撮影した一枚ですが、針金のような枝を扇のように拡げた、一本の大木が出迎えてくれました。
朝焼けと木の陰影が素晴らしく、思わず見惚れてしまいます。
何も期待していなかったので、早起きは三文の徳だと、素直に実感が湧きました。
そのまま雪の中をズブズブと進んで、街並みが見える場所まで移動しました。
早めに脱出し、足元の雪を払わないとびしょ濡れになってしまうので、まごまご出来ません。
下の写真がそうなのですが、遠野の市街地が童話のような風景に見え、そのとき「雪中の狩人」という絵画が浮かびました。
狩人が犬を連れて、丘から街中を眺めている構図で、その狩人になったような錯覚が起こったのです。
作者は、ルネサンス後期の「ピーテル・ブリューゲル」という画家で、「バベルの塔」の作品で有名な方です。
示唆に富んだ題材が多く、寓話を散りばめるように、妖怪とかいっぱい描いています。
後で見比べると、先ほどの針金のような木までが描かれていて、イメージ以上に酷似していたことに驚きました。
ここから駅まで急がないと、予定の便に間に合わなくなるのですぐに失礼しましたが、城山に上って、童話の世界に入り込んだような感覚になったのは、初めての体験でした。
〝妖怪の里〟とも称される、遠野ならではの出来事だったのかもしれません。

