最初の写真は、長春にある「旧関東軍司令部」です。
日本で1930年代に流行した、和洋折衷の建築様式である「帝冠様式」が、現在も威厳を放っています。
以前に取り上げた、大連にある「関東軍司令部」は廃墟になっていましたが、この建物は現役バリバリで、今も「中国共産党吉林省委員会」が使用しています。
満州帝国の権力を誇示するランドマークでしたが、帝国が消滅した後を、権威主義国家の中枢を担う機関が引き継いだことで、過去からの異様な威厳をそのまま現代に保持しています。
ここだけは、門前で立ち止まったり、その前で写真を撮ることを禁止されていました。
反対側の通りを歩きながら、おそるおそる撮影した次第です。
当時もこんな雰囲気だったろうと、素直に感じますし、違和感がないとおかしいはずの日本城郭風の建物が、とても馴染んでいるのが不思議でした。
周囲の環境も影響しているからでしょう。
長春は、満州帝国の都として「新京」と改称され、革新的な都市計画に基づき建設された都市でした。
他の中国東北地方の都市には、日本的な雰囲気を感じる建物が残っていますが、日本人が建設していても、その様式は様々です。
しかし、ここは経緯からして別格の存在となっており、当時の国策を担う主要な施設が「帝冠様式」で統一感を持って建設されているため、日本の帝国主義を強く意識させる空間として残っています。
それらが、同じように主要な施設として継続活用されているのです。
それらの建物は、現在使用されている建物名称と別に、史跡としての名称が刻印されていますが、その冒頭には〝偽満州〟という言葉が、必ず追記されていました。
満州帝国は認めない、偽りの存在という意味でしょう。
下の写真は、「偽満州交通部旧史址」です。
必ずと言ってよいほど、玄関先に掲げられいる赤い旗を見ていると、国旗が変わった以外は、都市全体がタイムカプセルに入っているような気がしてきます。
かなり不気味に感じながら、散策しました。