海の中に浮かぶ細長い線のように見える松林は「天橋立(あまのはしだて)」です。
しかし撮りたかったポイントは日本三景の「天橋立」ではなく、手前の一本木の立つ原っぱです。
「丹後国国分寺跡」です。
奈良時代に聖武天皇が建立した東大寺を中心に、全国に国分寺・国分尼寺が設立されたことは、歴史の授業でご存知と思います。
ある歴史小説家が指摘した通り、これまで訪れた跡地は全て「四方が山に囲まれた盆地内」にありました。
国分寺は旅の目的にしていませんが、標識とかで気がついて何気に寄っています。
当時の建物はなく礎石だけですが、それがかえって鄙びた歴史ロマンを感じさせる空間になっていることが多いです。
しかしここは例外で海が見えます。
しかも天橋立が真横に見渡せる風光明媚なスポットで、設計者もここの魅力に負けて原則を外したのでしょうか。
もし往時の金堂や仏塔が残っていたらなあと思いますが、「雪舟」の描いた国宝「天橋立図」には当時実在していたのか(?)しっかりと描かれています。
室町時代は「府中」と呼ばれ、この地域の中心地として栄えていたようです。
ただ今は何もありません。
周辺の賑やかな「天橋立」関連の観光地と比べて完全に忘れられている空間でした。
しばらく一人でたたずんでいると、往時の賑わいを独占しているような妄想が沸き立ち、少し得した気分になりました。
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