2023年2月25日土曜日

樽見鉄道(たるみてつどう)


とりわけ寒かったのを覚えています。

岐阜県の始発「大垣駅」から終点の「樽見駅」まで向かいました。

山奥に向かっている路線ですから、進むだけ豪雪の度合いは増していきました。

目的は、この路線の完乗と、終着駅近くの日本三代巨桜の一つである「淡墨桜(うすずみざくら)」を拝みにいくことです。

当然のことながら花は咲いていませんが、自分のマニアックな視点としては、枝振りの美しさをしっかり拝見するなら、花がなくても構いません。

特に天然記念物に指定されているような、有名な巨木とゆっくり対峙するなら、人の気配がない真冬に限ります。

ちなみに満開の桜は、通り沿いを歩きながら下から眺めるのが好みで、花自体ももちろん大好きです。


駅から歩ける距離とは言え、雪道は難儀しました。

特に公園内は雪が深くて、ズボンもビショビショです。

しかし対面した枝振りの美しさを目の当たりにして、後悔はすることは全くありませんでした。

樹齢1500余年と推定され、「継体天皇」お手植えの伝承があります。

そのため老化が激しく、樹木医や地元の看護で懸命に守られているそうです。

この鉄道の象徴として、いつまでも存在して欲しいと願いました。

その後、帰りの便に間に合うよう急ぎ戻りました。

更に濡れが伝ってきて、太股あたりまでびしょ濡れです。

スーツ姿だったので、入水自殺を仕切れずに戻ってきた人と、間違いられないか心配でしたが、幸い駅には誰もいませんでした。

駅の売店はおろか、周囲の店も開いてなく、自販機しかありません。

仕方なく電車に乗って、暖房の送風口に立ったまま、ズボンを乾かしながら、ホット缶コーヒーを飲みました。

この環境がそう思わせるのか、今までの味で最高に感じました。


2023年2月18日土曜日

イギリス海岸

 

「花巻駅」から東に2キロほど歩くと、「北上川」に到着します。

その西岸を、「宮沢賢治(みやざわけんじ)」が「イギリス海岸」と名付けました。

理由は、この辺りの白い泥岩層が、イギリスの「ドーバー海峡」の白亜の海岸を、連想させるからだそうです。

最近は残念なことに、ダムが出来たことで水位が下がらなくなり、泥岩層を見ることが難しくなっているとのこと。

地元では彼の命日に、水位を下げて白亜の海岸を再現しようとしているそうですが、なかなかうまくいかないようです。

彼のイメージとしては、「万事において、誇大妄想が強い。」と感じてます。

37歳という若さで亡くなりましたが、その死後に評価されたので、美化された部分が相当多いとも思います。

しかしながら、旅人としての行動には、共感出来るものがあります。

実際のところ、真冬に凍った道をおそるおそる2キロ歩いて、現地まで行きました。

その景色がこの写真です。

「ドーバー海峡」は写真でしか見たことがありませんが、この川岸を例えるのは、あまりに無理があり過ぎます。

しかし、雪で覆われた一面の景観は、「白亜」の世界観を強烈に体現してました。

全くお門違いの話ですが、彼のやっていることにつきあってもいいなと、直感で思ってしまいました。

何が起こるかわからない、ワクワクが得られそうです。

2023年2月11日土曜日

土佐日記(とさにっき)


幼少の頃、親戚が家にやってきて、たまにお土産に頂く「土佐日記」というお菓子が、大好きでした。

本のようなデザインで、片側開き出来る箱に入っていて、おもちゃ箱にして遊んでました。

文学作品に由来があることを知ったのは、小学生の高学年になってからだと思います。

作者は平安時代の貴族である「紀貫之(きのつらゆき)」です。

土佐国における行政官トップである「国司」として、現地にに赴任しました。

作品自体は、その任期を終えて京都に戻るときのエピソードを中心に、冗談も交えて仮名で記されています。

それだけでなく、在任中に娘を亡くしたため、哀愁漂う歌も挿入されていたりして、情感の幅が広い作品です。

そのため、この後に誕生してくる「紫式部・清少納言」等の女流作家に大きな影響も与えていると言われています。

写真は、彼が住んでいた「国司館跡」です。

天気は曇りでしたが、愛車「ムーザ」のチョコレート色と白い砂浜のような駐車場が妙にマッチしていました。

冬で寒いのですが、涼やかな心地がした次第です。

行政府である「国衛」もそばにあって、ここが土佐国の中心地でした。

高速道路の南国インターを降りて、すぐ南側に位置します。

内陸ですが国分川がそばにあって、海からも水路でたどり着ける場所です。

今の高知市の中心街は、「関ヶ原の合戦」後にやってきた「山内氏」が整備したことを考えると、今とは随分様相が異なると思います。

しかし車を停めて散策すると、古びた小学校がある以外は、お寺や田畑しかありません。

往時の雰囲気がそのまま残っているような気がしました。


2023年2月4日土曜日

下関の観覧車


会社の駐車場からの夜景です。

すぐ目の前に遊園地があり、立体駐車場から車が出てくる約一分ほどの間、ボーっと眺めています。

イルミネーションがテンポよく変化して、童心に少し帰れるような心地がします。

ここ最近ハードな仕事が続いていて、かなり追いつめられているので、正直救われています。

ちょっとした待ち時間に対して、もどかしく感じてイライラするのか、多少なりとも落ち着いた心境になるのか、それだけでも積み重なると、精神状態に大きな違いが出てくると思います。

恥ずかしながら、若いときにはそれがわかりませんでした。

もともとマイペースとはいえ、とにかくいろんなことがしたくて、いつも急いたリズムで行動していたと思います。

メンタルヘルスに関する意識は年々高まっているかと思いますが、特別な取組みをわざわざするよりも、日頃の行動の中に潜んでいる何かに少しでも気づくほうが効果が高いのかもしれません。

自分が喫茶店を好きなのも、こういったところに根っこがあるのかと、今さらながら気づきました。

2枚目の写真は早朝の景色です。

この観覧車の背後より太陽が昇ってきます。

朝型の自分にとって、エネルギーが充填される気がします。

この物体は、自分にとって「神」なのかもしれません。

大げさですが・・・。