とりわけ寒かったのを覚えています。
岐阜県の始発「大垣駅」から終点の「樽見駅」まで向かいました。
山奥に向かっている路線ですから、進むだけ豪雪の度合いは増していきました。
目的は、この路線の完乗と、終着駅近くの日本三代巨桜の一つである「淡墨桜(うすずみざくら)」を拝みにいくことです。
当然のことながら花は咲いていませんが、自分のマニアックな視点としては、枝振りの美しさをしっかり拝見するなら、花がなくても構いません。
特に天然記念物に指定されているような、有名な巨木とゆっくり対峙するなら、人の気配がない真冬に限ります。
ちなみに満開の桜は、通り沿いを歩きながら下から眺めるのが好みで、花自体ももちろん大好きです。
駅から歩ける距離とは言え、雪道は難儀しました。
特に公園内は雪が深くて、ズボンもビショビショです。
しかし対面した枝振りの美しさを目の当たりにして、後悔はすることは全くありませんでした。
樹齢1500余年と推定され、「継体天皇」お手植えの伝承があります。
そのため老化が激しく、樹木医や地元の看護で懸命に守られているそうです。
この鉄道の象徴として、いつまでも存在して欲しいと願いました。
その後、帰りの便に間に合うよう急ぎ戻りました。
更に濡れが伝ってきて、太股あたりまでびしょ濡れです。
スーツ姿だったので、入水自殺を仕切れずに戻ってきた人と、間違いられないか心配でしたが、幸い駅には誰もいませんでした。
駅の売店はおろか、周囲の店も開いてなく、自販機しかありません。
仕方なく電車に乗って、暖房の送風口に立ったまま、ズボンを乾かしながら、ホット缶コーヒーを飲みました。
この環境がそう思わせるのか、今までの味で最高に感じました。
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