2025年9月27日土曜日

伊香保温泉


「伊香保温泉」の温泉街です。

結構な急坂である石段は、旅館・土産物屋・遊技場とかが軒を重ねており、この温泉のシンボルでもあります。

地元で普及している「上毛かるた」でも、〝い〟は「伊香保温泉 日本の名湯」です。

会社の先輩にこの話を伺ったのですが、この言い回しは何故か憶えていました。

同じ群馬県内にある「草津温泉(ほとんどの全国温泉番付で、横綱認定)」と、並んで知名度が高いと言っても過言ではありません。

有名な文豪達が、小説の題材とかにも取り上げていて、温泉ならではの風情というか余韻が漂う素敵な場所でした。

私がこの温泉街をはっきり認識したのは、漫画「頭文字D(地元の走り屋が、夜な夜な峠で勝負する)」の舞台が、この界隈を想定しているからです。

実際の地名は微妙に変更されているのですが、この漫画の主人公と、彼女が紅灯の巷へと消えていくのも、この温泉街が背景になっていました。

しっぽり感というか、色気が漂う温泉ではあります。

ただ、残念ながら温泉の泉質は大したことありません。
 
悪い印象で残っているのが、読んだ推理小説でここが登場したときに、湯量が乏しくて困っているという話題でした。

昔からの源泉は「黄金の湯(こがねのゆ)」と呼ばれるそうですが、権利者が幅を利かせていて、新規に発掘された「白銀の湯」と併用されているそうです。

ただ後者は、無色透明で湧出温度が低く、温泉特有の成分が非常に少ないため、評判がイマイチとのこと。

以前に泊まった宿は、茶褐色の前者だったので当たりと言えますが、それでも源泉かけ流しでなく、妙に薄い感じがしました。

愛媛の塩素が入っている有名な温泉(それでも好きですが)と、立ち位置が似ているような気がします。

しかし、インバウンドの流れも含めて、温泉業界でのブランド戦略は、継続的に栄えていくうえで非常に大事だと感じています。

雑誌での紹介記事において、宿泊したことのある有名旅館が、ビックリするような金額になっていることが多いです。

もはや自分の懐具合では、宿泊出来る相場ではありませんでした。

正直なところ、日本のサラリーマンが家族単位で宿泊するのは、全国的に厳しくなっているような気がします。

話題になる前の穴場を、自分の感覚で探していくしかありません。

家族旅行で宿泊出来る素敵な場所を、見つかるのは本当に大変です。





2025年9月20日土曜日

天橋立股のぞき

 

いきなり別の話題になりますが、「西国三十三寺」という寺巡りの括りがあります。

三十三もあれば、普通しょぼいのが入っていそうなものですが、近畿地方を中心に名だたる寺院ばかりで構成されており、行きごたえがあります。

この括りを聞いたことはあっても詳しくは知りませんでしたが、有名な寺院が多いため既に行っているお寺が相当数あり、大阪に住んでいる間にコンプリートしたいと、最近思い立っています。

しかし範囲が広大です。

順番に廻ろうとすると、最初の一番札所は和歌山県のほぼ最南端に、最後の三十三番札所は岐阜県のまあまあ山奥にあったりと、初っ端から心が折れそうな場所に点在しているのです。

ちなみに最北に位置するのが、二十八番札所「成相寺(なりあいじ)」です。

丹後半島の根元に位置し、日本三景の一つ「天橋立」を眼下に拝むことが出来ます。

この写真がその展望で、少し靄ってましたが全貌をしっかり見ることが出来ました。

もとは修験道の道場だったらしく、雪舟の国宝「天橋立図」にもこのお寺は描かれています。

「天橋立」自体には何度か行っていて、実際に北から南まで歩いて縦断したこともありました。

松林の中を歩きながら、左右の海を眺めることが出来るのです。

訪れたときは夕暮れ時で、気持ち良い風に当たりながら風光明媚な雰囲気を味わった記憶が残っています。

しかし、名称の由来は、このお寺からの景観なのだと実感しました。

かなり標高が高く、坂道を車で上がっていくのですが、このときの車はマニュアル車で大変でした。

こんな斜度のきつい坂道を登ったことがないくらい急です。

前方のもたついた車に追いついてしまうと、その車のペースでスピード調整をしないといけなくなるため、エンストしそうになります。

クラッチを踏む左足が何度もつりそうになりました。

このときは三十三寺を意識していなかったので、引き返そうかと思いつつも、何とかたどり着いた次第です。

下の写真は、少し奥まったところにある「天橋立股のぞき岩」です。

昔、テレビでやっていた「一休さん」でおぼろけながら見た記憶があります。

実際にこの岩に上がって股のぞきの姿勢で見てみました。

天に昇っているほどには見えませんが、海に立っているように見えなくもありません。

まあ娯楽がない時代には、一つのアトラクションだったのかなあ、と思いました。

ただこの日は暑かったのですが、ここまで高いと照り返しの地熱にさらされてない涼しい風が吹いていて、非常に爽やかな気持ちに浸れました。

幸い人もいなかったので、結構な時間をここでボーっとし、かなりスッキリしました。

おそらく人によって反応するツボが異なる場所かと。

一種のパワースポットかと思われます。

2025年9月13日土曜日

木ノ芽城塞

 

旅行をしていて「ここは難所だな。」と実感する場所があります。

福井県の若狭湾に面する「敦賀」から「福井」方面に向かうルートもそうでした。

以前のブログ「宗太郎越え」にて、自分の斜度に対する感度の無さを露呈していて恐縮ですが、ここは明確に感じました。

昔なら、ここは「若狭国」と「越前国」の国境に位置する地帯です。

ここを通る鉄路・高速道路・一般道のすべてにおいて、急斜面を駆け上る印象が強く、列車のディーゼル音、前方を走るトラックの苦しそうに吐き出す排気ガスの量、様々な乗り物が喘いでいる姿からその厳しさが伝わってきました。

今回は、古くからの主要道路であったであろうルートを探しながら、じっくり進んでみることにしました。

先ず、「敦賀駅」付近の川に「木の芽橋」があります。

ここが起点かなあ、と思いつつ、国道476号線を上っていきました。

昔の駅跡があり今は付け替えられてますが、ほぼ同じルートで鉄路があったようです。

軽井沢と横川間の「碓氷峠」とかもそうですが、列車の登坂能力の性能向上により、更なる移動時間の短縮を目指し、時代ごとに鉄路は見直されて、より直線的になっていきます。

高速道路の登りもこの道沿いでした。

下りは負荷が少ないため、より直線的な別ルートになっていますが、ここが昔から一番登り安い勾配だったことは間違いないようです。

しかし、この476号線も途中でトンネルの直線道路になってしまい、ここから別ルートを探さないといけません。

幕末の天狗党の首謀者である「武田耕雲斎」の本陣となった後があり、その脇から続く山道が古道のようです。

そこから延々とジグザグ道を頑張ると、少し平坦になってきて、最高所の「木の芽峠」に至りました。

写真の通り、多少緩やかでもこの車の角度です。

下の写真により詳細を示してますが、ここは城塞が築かれています。

近畿方面からの敵を防ぐ目的があったようで、戦国時代には、「織田信長」が「朝倉義景」を攻略したときのルートでもありました。

ここから先は、スキー場の中を通り抜けるような道になり、北国街道「板取宿」に至ることが出来ました。

出たとこ勝負の探検でしたが、スリリングな展開で非常に楽しめました。

あまり調べず直感で進む旅は、これからもっと楽しくなりそうです。

怖い試みになりますが、鉄路の廃線ルートを攻める時期かもしれません。


2025年9月6日土曜日

小浜温泉

 


不思議な場所にある温泉です。

JR山陰本線「温泉津駅」から歩いて5分ほどの場所にある公衆浴場ですが、この先には世界遺産「石見銀山」の構成資産に含まれる「温泉津温泉街」があります。

ほぼ同一エリア内に、別の温泉名で浴場を構えているのです。

以前に取り上げた「温泉津温泉」は、個人的にも大好きで、ここを車で通るときは必ずと言っていいほど立ち寄りました。

しかし鉄路の場合は、この「小浜温泉」を利用します。

この写真は車で来たときに撮影したのですが、列車の場合、降車して次便がやって来るまで一時間ほどしかない場合が多く、タクシーを使わないと駅から温泉街を往復することが出来ません。

鉄旅のときは節約モードになっているため、ここでタクることは、私にとって負けを意味します。

まあ、そんなことを考えなくても、入浴したい素晴らしいお湯なのです。

塩化物泉と表記されてますが、そんな単純に言い表せない複雑な泉質です。

黄色味を帯びていて、とろみがあるようには感じないのですが、肌辺りはとても柔らかいです。

温泉らしい匂いも漂っていますが、成分が判別できるほどの、とんがった風味ではありません。

結果的には、交通手段で棲み分けが出来て良かったと、毎回感謝して入湯している次第です。

あるときに驚いたのですが、当時の有名だった温泉マイスターが、中四国の鄙びた温泉浴場の筆頭にここを取り上げていました。

確かにそのときは、もっと鄙びた味のある浴場施設だったのですが、残念ながら火事で焼けてしまい、今の姿に立て直されたのです。

新しくなった浴場にも入ったのですが、相変わらず地元の方々が大半を占めていると思われ、この地域の方言が飛び交っていました。

設備は新しくなってますが、変わらずの雰囲気が漂っていて、とても懐かしく感じたのを覚えています。

そう言えば、ここでの強烈なエピソードがありました。

写真に写っている水色のベンチに座って、風呂上がりのジュースを飲んでいたとき、おもむろに女性用の入口から出てきたおばさん二人に「まあ、ユタカ君お元気だった。」と声をかけられたのです。

「いや、旅の者で、違いますよ。」と否定をしたのですが、二人は「何とぼけているのよユタカ君。」と食いついてきます。

「いや、本当に別人です。」と言っても、認めがたいらしく、しばしの沈黙がありました。

そのうち一人が、「いや、ユタカ君じゃないわあ。」と言い出したのですが、もう一人はまだ疑っていて、こちらを睨んでいるような表情でずっと見てました。

違うと認識した方が、もう一人を引っ張る様にして立ち去られたのですが、最後まで自分がユタカ君でないことに納得されてない様子でした。

ユタカ君、どんな人なんだろう。

今日は車なので、下の写真の進行方向を右に、しばらく進んだところにある「温泉津温泉」
の「元湯」に向かいました。

あの二人、行ってないだろうなあ。