不思議な場所にある温泉です。
JR山陰本線「温泉津駅」から歩いて5分ほどの場所にある公衆浴場ですが、この先には世界遺産「石見銀山」の構成資産に含まれる「温泉津温泉街」があります。
ほぼ同一エリア内に、別の温泉名で浴場を構えているのです。
以前に取り上げた「温泉津温泉」は、個人的にも大好きで、ここを車で通るときは必ずと言っていいほど立ち寄りました。
しかし鉄路の場合は、この「小浜温泉」を利用します。
この写真は車で来たときに撮影したのですが、列車の場合、降車して次便がやって来るまで一時間ほどしかない場合が多く、タクシーを使わないと駅から温泉街を往復することが出来ません。
鉄旅のときは節約モードになっているため、ここでタクることは、私にとって負けを意味します。
まあ、そんなことを考えなくても、入浴したい素晴らしいお湯なのです。
塩化物泉と表記されてますが、そんな単純に言い表せない複雑な泉質です。
黄色味を帯びていて、とろみがあるようには感じないのですが、肌辺りはとても柔らかいです。
温泉らしい匂いも漂っていますが、成分が判別できるほどの、とんがった風味ではありません。
結果的には、交通手段で棲み分けが出来て良かったと、毎回感謝して入湯している次第です。
あるときに驚いたのですが、当時の有名だった温泉マイスターが、中四国の鄙びた温泉浴場の筆頭にここを取り上げていました。
確かにそのときは、もっと鄙びた味のある浴場施設だったのですが、残念ながら火事で焼けてしまい、今の姿に立て直されたのです。
新しくなった浴場にも入ったのですが、相変わらず地元の方々が大半を占めていると思われ、この地域の方言が飛び交っていました。
設備は新しくなってますが、変わらずの雰囲気が漂っていて、とても懐かしく感じたのを覚えています。
そう言えば、ここでの強烈なエピソードがありました。
写真に写っている水色のベンチに座って、風呂上がりのジュースを飲んでいたとき、おもむろに女性用の入口から出てきたおばさん二人に「まあ、ユタカ君お元気だった。」と声をかけられたのです。
「いや、旅の者で、違いますよ。」と否定をしたのですが、二人は「何とぼけているのよユタカ君。」と食いついてきます。
「いや、本当に別人です。」と言っても、認めがたいらしく、しばしの沈黙がありました。
そのうち一人が、「いや、ユタカ君じゃないわあ。」と言い出したのですが、もう一人はまだ疑っていて、こちらを睨んでいるような表情でずっと見てました。
違うと認識した方が、もう一人を引っ張る様にして立ち去られたのですが、最後まで自分がユタカ君でないことに納得されてない様子でした。
ユタカ君、どんな人なんだろう。
今日は車なので、下の写真の進行方向を右に、しばらく進んだところにある「温泉津温泉」
の「元湯」に向かいました。
あの二人、行ってないだろうなあ。
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