上から見ると円の形が、明瞭にその痕跡を残しています。
イスも加えると十字架みたいな配置で墓標にも見え、静かな太平洋を背景に空虚な雰囲気が漂っています。
ここは「由良要塞(ゆらようさい)」跡です。
淡路島の東南端に位置し、紀伊水道から大阪方面へ侵入する敵艦隊を阻止すべく築かれた近代要塞です。
淡路島は瀬戸内海での防衛上、重要な位置にあるため、どの先端にも本州・四国と海を挟む形で両岸に要塞が築かれました。
しかし交通の要衝でもあったせいか取り壊されているものが多いです。
例外として辺鄙な場所にあるため、この要塞だけはかなり綺麗に残っています。
赤レンガで築かれた武器庫等の遺構は見事です。
ここのみならず「大日本帝国」は海防の危機意識から明治・大正期に全国各地に同様の要塞を築きました。
しかし幸いにも太平洋戦争まで本土が攻められることはなかったので、実戦での活用は一度もありませんでした。
昭和の時代になると、明治・大正期の設備は旧式過ぎてそのまま使用を放棄され土に還っていく雰囲気が漂います。
自分の大好きな閉鉱された鉱山に似た風情です。
今後、本格的に「城巡り」に続くジャンルとして取り組みたいと思っています。
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