2018年3月末でとうとう廃線になってしまった「三江線」の車窓です。
「三次駅」周辺のホテルに前泊し、夜明け前の始発からスタートしました。
年末の冬場だったため、なかなか明るくなりません。
確か一時間ちょっと進んで、漸く周囲の輪郭が見えてきたのを待ちきれずに、シャッターを切った一枚でした。
最初はただの取り損ねと思っていましたが、時間が経った今、あらためて眺めると水墨画のようで、幽玄さが漂う傑作と自画自賛してます。
廃線となり、感傷的になっているバイアスもあります。
浮き世のはかなさと言いますか、「長谷川東伯」の「松林図屏風」に通じる気さえ、厚かましくも感じています。
実は、それを体現するように、この路線の歴史は哀れなものです。
列車は「江の川」に沿って終点「江津駅」まで走り続けました。
川の背景に田園や山々の起伏が広がり、最高級の「川線」の景色を楽しみました。
しかし全通したのは1975年と意外と昔ではありません。
すでに地域は車主体になってますし、国鉄の大赤字も問題になっている時代で、赤字路線の指定を開通時から受けていました。
そのため最初から特急・急行は走らず、本数も少ない鈍行のみでした。
100キロを越える路線でありながら、これでは採算が良くなるはずがありません。
寂しい幕切れとなってしまいました。
次回は車となりますが、廃線巡りにもしっかり訪れたいと思います。