2016年12月31日土曜日

興福寺


夜の「国宝:興福寺五重塔」です。

国宝の仏塔の中でも筆頭格と思います。

寺は「猿楽池」の北側に位置し、「東大寺」や「春日大社」以上に「古都奈良」の中心地として地の利を抑えています。

夜でも散歩がてら立ち寄れ、眼前での撮影が可能です。

より身近に感じられて旅を満喫出来ます。

ただ、この寺の実情については何にも知らないので、信者・関係者の方にはご無礼の限りですが、これほど「政治と金」の臭いする寺もないと思っています。

ずばり「悪役」のイメージです。

「藤原氏」の庇護下にあったからか、政治団体化した宗教勢力の代表として「比叡山延暦寺」と双璧をなす気がします。

とは言え、ここの国宝は「阿修羅像」を筆頭として本当に素晴らしいです。

これが常時、観えるのも「国宝館」があり、その運営に必要な人件費が賄えるからです。

滋賀県とかの「古寺」で無住職の寺のため、国宝級の文化財が「秘仏」ではなく、ただの「保管」になってしまっていて、伺っても拝観出来ないケースがあります。

こういう状況に直面すると、「文化財・管理設備・人」のバランスを保つ「金」は大事と思います。

「拝観」は、盗難のリスクが高まる中、「観光」と同義とも言えます。

「風情」も考慮して運営を考えるとなると本当に難しいことです。

2016年12月24日土曜日

本阿弥光悦


安土桃山と江戸初期の文化人の中で、新しい要素を取り組むという意味において、最も「ロック魂」を感じるのが「本阿弥光悦」です。

「琳派」の祖として位置づけられ、書・蒔絵・茶碗等の幅広い分野でプロデュース力を発揮します。

刀を作る「刀工」ではなく、「刀研ぎ」と「その鑑定」を家業とされていたからか、制作に対しては他人の手も借りる「協業」を前提とした柔軟な発想を感じます。

書も「俵屋宗達」とコラボしたり、茶碗も「材料調達」と「焼き」は、千利休ゆかりの「楽家」に依頼して作成しています。

「仕上げ」にエネルギーを集中し、金属の持つ硬さと輝きの要素を取り組んでいる気がします。

「雪峰(せっぽう)」という重要文化財の茶碗がありますが、出来損ないのような割れ目を「金つぎ」で仕上げています。

土と金属の微妙な調和が見事です。

この写真は、彼の墓もある「光悦寺」の入口です。

誰が作ったのは知りませんが、石畳みの構成にエッジが効いていて、「わび・さび」とも違う彼の世界観がうまく表現されていると思います。

「徳川家康」に拝領した京都北側の「鷹峯(たかみね)」にあり、「光悦村」という「総合芸術村」も営み、人材育成にも力を入れています。

彼の作品群は、超一級の「美術品・工芸品」ですが「実用性」を全く損なっておらず、「工芸」を「美術」に近づけても、「生活」をおきざりにしてません。

刃渡りの上を歩くような絶妙なバランス感覚が、本当に素晴らしいと思います。

2016年12月17日土曜日

留萌本線


三連休に有休を一日追加してもらい、冬の北海道の鉄道に乗り続けたことがあります。

その当時は多くの夜行列車が走っていました。

フリー切符で道南の函館から道東の釧路へ、更に北上して網走に、そこから道央の旭川経由で道北の稚内を折り返して札幌に戻りました。

3日間車中泊で鉄道旅行を満喫しました。

その中で一番「はるばる来た」と感じたのが「留萌本線(るもいほんせん)」です。

旭川と札幌の途中にある「深川駅」で乗り越えて、終点の「増毛駅」に到着する間際の海岸線の景色がこの写真です。

「何処に行ってしまうのか」と、自分を偽れない寂しさがあります。

増毛駅にはフォームすらありません。

駅舎からは、雪の中を乗ってきた列車のおかげで、かろうじて線路が見えます。

ここには、高倉健さん主演映画「駅」に登場した「風待食堂(かぜまちしょくどう)」があります。

早朝のため開いていませんでしたが、名の通り必要な存在と痛感します。

周囲の景色に強く「最果ての地」を感じました。

とうとう廃線になり、残念です。

2016年12月10日土曜日

華麗なる一族


場所はタイトルとは全く関係ありません。

ただ宿泊した部屋で山崎豊子作「華麗なる一族」を放映していたので連想してしまいました。

ここは福島県「塩原温泉」の「明賀屋本館」です。

昭和の団体旅行が盛んな時代に、建物を「継ぎ足し」、「継ぎ足し」して無理矢理作られた旅館の典型でした。

部屋も住み込み部屋のようで、料理もイマイチ、ドラマで見る「昭和の下宿生活」を連想しながら泊まりました。

しかしここには有名な「川岸露店風呂」があります。

「継ぎ足し」の隙間を縫うように作られた木造の長い階段を下っていくと、最高の泉質と景色が待っています。

鉄分と塩分が濃厚に混じった緑色の泉質が、川沿いの複数の湯舟をヒダヒダにしており、そこに浸かりながら「鹿股川」のせせらぎと景色を堪能出来ます。

温泉臭も含め五感全てが満たされます。

何となくですが、西日本と比較すると得意領域だけで勝負する温泉施設が、東日本で目立つ気がします。

写真は、帰り間際に撮影した「太古館」と名付けられた、この旅館本来の「本館」です。

車をこの位置にまで無理にバックさせて撮影しました。

何と「帝国ホテル」と同じ人が設計したとのこと。

気を引くだけの風格が漂っていますが、今は入口としても使われておらず、いつからこのような放置状態になっているのか非常に残念でした。

この車の「ランチア」というブランドも長い歴史を有してます。

ただ、築き上げてきた「ラリーにおける栄光のレース実績」や「業界全体に与えたデザイン」等の貴重な歴史的財産を、うまく新車開発に活用することが出来ず、消滅の危機に瀕しています。

何故うまく活用出来ないのか?自分の好みであるだけに本当に悔しいです。

一緒に撮影していて重なってしまう侘しさがありました。

やっぱり「華麗なる一族」の展開と潜在的につながっているかもしれません。


2016年12月3日土曜日

外輪山


「阿蘇」はどの季節に行っても素晴らしい景色を堪能できますが、ドライブするのは何故か冬が多いです。

今回は「外輪山」を回っていて、何気なく車を停めました。

手前に壊れかけたゲートがあったからです。

本来の機能を果たしているのか怪しい存在ですが、怒られることもなさそうなので中に入ってみました。

写真は、そこをくぐって眺めた景色で、「阿蘇山」を囲む「外輪山」の内側に薄日が差し込んでいて、本当に見事でした。

最初は牧場かと思っていたので動物に警戒していたのですが、牛や馬も見当たりません。

奥に進むほど柵らしいものも見えなくなり、どこまでが牧場でどこまでが草原なのか、わからなくなってきました。

不安は募りますが、それとは裏腹に雄大な空間が自分を包んでくれる心地良さがありました。

大いなる安らぎを感じます。

この辺りは何もないように見えて、少しドライブすると結構お洒落な店もあります。

高原のドライブとしては最高です。

他にも濃厚な温泉を有した渋い旅館が多いうえ、食事も地元の個性的な料理が多く、観光地としても楽しいです。

話がとんでもなく飛びますが、これが「シルクロード」ならどうなのでしょうか。

レンタカーもなく、このような景色を移動するのも一苦労でしょう。

日本の国内旅行は、世界で一番便利かと思われます。

更なる未知の「旅」を満喫するうえで、妙なとっかかりを与えてくれた景色でした。

何か新しい「扉」が開きそうな気がします。