2025年1月4日土曜日

曜変天目


昨年は開店10周年を迎え、リニューアルした年でした。

運営の中心を母から妹へと、少しずつ軸足を動かしていくことになりました。

同じ場所で長くやっていると、内外の様々な変化を受け入れていかなければ、そのままではいられないことを痛切に感じます。

冬旅の話になりますが、写真は「甑大橋(こしきおおはし)」です。

鹿児島県の西部沖合にある「甑列島」の島々をつなげる橋で、1,533mの長さは県内で一番だそうです。

またあらためて取り上げるつもりですが、「Dr.コトー診療所」のモデルとなった島です。

九州本土からフェリーに乗って、1時間15分ほどで、北端にある上甑島の里港に上陸。

あっさりした旅程ですが、大荒れの天気で船は揺れに揺れました。

生まれて初めて、船酔いを経験しました。

そこからレンタカーで南端を目指して走ります。

この橋は、中甑島と南甑島を結ぶ橋であり、南甑島側にある展望台からの撮影でした。

高波によって岩礁が生み出す砕けた波の文様が見事でした。

海の澄んだ青色に浮き出る様は、「曜変天目(ようへんてんもく)」のようです。

茶碗の紋様の話で宇宙とも形容されるのですが、岩礁が斑紋となってその周囲を白波が弾けます。

更に外周海面が激しい高低差で動くことで、海の青色が漆黒から紺碧に、そして瑠璃色にまで、多様に繰り返して変化していくのです。

手に取った器を鑑賞するような心地で、しばらく見惚れてしました。

詳しくはわかってないのですが、鉄質黒釉のかかった陶器を「天目茶碗」と呼ぶようで、その最高峰に「曜変天目茶碗」が位置するそうです。

中国の宋で焼成されたそうですが、現存は世界に3碗のみ、全てが国宝に指定されて日本にあります。

日本にあるおかげで3碗とも拝みに伺ってましたので、こんな見立てをしてしまいました。

変化を受け入れるということは、自身も変化していくことで、形が整うのかと思います。

長年お越し頂いている常連様からすれば、勝手が違うと思われている方もいらっしゃると思いますが、「デルタカフェ」らしさを続けていくための挑戦だと、温かい目でお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

変えるからこそ、変わらないものが残る。

そんな店でありたく、今年もよろしくお願い申し上げます。


天候が回復してきました。

帰りは、船酔いにならずにすみそうです。

 

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