2026年9月5日土曜日

積翠園(しゃくすいえん)


古本屋で買った、日本庭園を紹介した本を参考にして、京都市内を散策することがあります。

このときは、京都郊外まで車でやって来て、そこから折りたたみ自転車を活用して、七条通をひたすら東進しました。

この庭園は、通りが終わる突き当りにあり、京都国立博物館のある隣の区画になります。

到着したのですが、入口が見当たりません。

昭和に出版された本のため、現状が変わっていることは重々承知していますが、示されていた入り口は、高級老人ホームのエントランスの勝手口となっていて施錠されていました。


仕方ないので、そのエントランスで警備している方にお伺いすると、ホテルの庭になっているが、フロントで見学の趣旨を伝えたら、そのまま入れるとの説明でした。

そのホテルは、外資系の有名なホテルです。

もともと病院が管理している庭だったらしいので、その病院が売却されてホテルに建て替わったのだと思いました。

まさしくその通りだったのですが、9月初旬の暑い中、自転車に乗った汗まみれの状態で、ホテルに行くのは、私でも抵抗がありました。

こんな小汚い姿で大丈夫かと心配になりましたが、引き返すのも癪なので、勇気を出して向かいました。

道路の入り際から竹林になっていて、石畳の歩道を自転車を手押しで進みます。

もう外界との空気が変わってきました。

しばらく行くと、下の写真の通り、背の高い木組みの屋根の下に高級外車が並んでいます。


案の定の展開です。

そして、入口に数人のフロントマンが待機していて、近づく私を訝しい目で見ています。

意外だったのは、全員が東南アジア系の方々でした。

しかし、動きは洗練されていて、要件を伝えると笑顔で案内してくれました。

自転車の置き場所を伺うと、戻ってくるまで、そのまま預かるとのこと。

おそらくそんな空間ないのでしょう。

エントランスに入ると、全く日本語が聞こえません。

東南アジアで選抜された(と思われる)ホテルマンが、外国のお金持ち(そうに見える人々)を接客してました。

庭へ案内されながら、周囲を見回しましたが、日本人は一人もいないようです。

このとき、上海の租界が頭に浮かびました。

京都に、日本とここまで隔絶された空間があるのかと驚きです。

しかし、庭のエリアに入ると、森に入ったかのような空気に変わりました。

最初の写真に写っている鷺が、静かに通路で迎えてくれます。

そのまま散策を始めると、ホテルが壁のようにそそり立っていますが、意外に違和感がありませんでした。


その足元に、池泉式庭園が忘れられたように残されていて、丁寧に手入れされた自然が保たれています。

自分の呼吸の音が聞こえても、申し訳ないような静寂を極めた空間です。

夜は照明で奢られて、各部屋から庭園が堪能出来るに違いありませんが、これだけの素晴らしい庭が、外国の方々の貸切状態になっていて、日本人に忘れ去られようとしているのが残念でなりませんでした。

最後の写真に映っている鯉を見て「塔の中のラプンチェル」を思い出しました。




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