2019年11月30日土曜日

太閤の石切場


「日本のエーゲ海・牛窓」。

まあまあ浸透しているキャッチフレーズです。

洋食・洋菓子のお店や雑貨屋とかもあり、ドライブコースにうってつけなお洒落スポットです。

また、そこから少し先には「牛窓千軒」として栄えた町並みの遺構があります。

江戸時代に「朝鮮通信史」が寄港した港であり、船千叟と呼ばれた盛況ぶりでした。

「本蓮寺」の三重塔や本堂にその繁栄していた名残を感じます。

また大正時代の建築物も残っていて「竹久夢二」の出身地でもあることから「大正ロマン」も連想されます。

しかしこの旅の最大目的は、眼前の「前島」にあります。

先ずは低料金のフェリーにて車ごと渡り、民宿で海の幸を堪能しました。

そして翌朝写真の場所に向かいました。

「太閤の石切場」です。

実は大阪城の石垣はここでも切り出されました。

あまり取り上げられないのですが、あの天下の名城を数年で築くのにどのくらいの人間が動員されたのでしょうか。

あの広大な縄張りを総石垣にする規模です。期間の短さも考えるとピラミッド建設に近いレベルのような気がします。

次元が大き過ぎて、当時の前島と牛窓の盛況ぶりが想像出来ないのです。

それでやってきたのですが、目の前に転がっている大きな石を見ても、やっぱり実感出来ませんでした。

2019年11月23日土曜日

苫小牧


北海道を旅しています。

乗り換え時間があったので昼食を食べようと「苫小牧駅」に降りたのですが愕然としました。

駅に隣接するショッピングセンターが閉鎖されています。

食事をするような店も周辺にありません。

何かないかと裏口に回っても巨大なバスの停留所がほどんど使われずにあるだけで、本来なら店であろう場所にはシャッターが降りています。

一つ開いているところに行ったら床屋でした。

駅周辺の施設は大振りに建設されているのに、人の歩いていない閑散とした雰囲気は、まるで80年初頭の廃れた共産圏の町のようです。

未乗線に乗るため駅に戻りました。

写真はそのときに駅のフォームから撮影したものです。

寒いですがよく晴れた空に、高い煙突から煙がもうもうと出ていて、自分の感じたイメージが体現されていました。

イオンとかは郊外にあって賑う場所はそれなりにあるようですが、駅はその都市の玄関口で顔でもあります。

ターミナル駅なのに人の気配がほとんどないのは、少し怖く感じます。

その体裁がなくなりつつある事態は、将来にどんな影響を与えてしまうのか、無念のコンビニ弁当を買いつつ不気味に感じました。

2019年11月16日土曜日

高茂岬(こうもみさき)


23年間ずっと乗っていたアルファスパイダーを手放すことにしました。

理由は二つあります。

保管したままで全く乗らず所有者として恥ずかしくなったことと、専用に車庫も造るので是非譲って欲しいという方が出てきたからです。

最後のドライブに選んだのが愛媛県の南端にある「高茂(こうも)岬」でした。

豊後水道に突き出る船越半島にあり、ここから先は外海になります。

逆に言えば、瀬戸内海に繋がる内海の入口となり、太平洋戦争中には防衛のために、砲台と観測所が設置されました。

写真は再現した観測所からの景色です。

そこからの眺めは極めて広角的で、豊後水道から九州対岸も視界に入れつつ、足摺岬方面の太平洋まで見渡せました。

戦争末期に沖縄方面に最後の出撃をした「戦艦大和」が、まさしく通ったルートです。

米軍の落とした機雷が「呉港」を封鎖してしまい、帰港することすら出来ず徳山沖から特攻に向かいました。

ここから見えた最後の勇姿がよくイメージが出来ました。

良い区切りの一日にもなりました。

帰りは夕日がキレイで、スパイダーの黒色によく映えました。

ラストショットの一枚です。


2019年11月9日土曜日

伊勢湾岸道


この道路が出来たおかげで非常に高速道路の長距離移動が楽になりました。

ここ最近で関東圏と関西圏を往復する際に、いろんなポイントで高速道路が拡充・接続されて、非常に移動時間が計算出来るようになりましたが、この「伊勢湾岸道」が最も大きく寄与していると思います。

名古屋圏は通り抜けたいだけなのに、わざわざ名阪道と中央道が内陸部に回り込むような形で合流するので、何時間も渋滞する羽目になっていました。

更に事故が発生したら最悪で、トイレや食事のためやむなく一般道に降りることもありました。

それが海側でほぼ一直線に迂回出来るのです。

新しい道路なので路面のコンディションも良く、古いイタ車で走ってもあまりガタガタしません。

突き抜けるように快調に走れます。

極めつけは写真の「長島スパーランド」を夕刻通過するときの景観です。

イルミネーションも加わり、真横にジェットコースターの高くウネウネした滑走路と並走するので、競争するような気分になりテンションが上がります。

長距離ドライブで疲れてくるタイミングに丁度眠気もふき飛び、リフレッシュされるので、まるでアトラクションを使用しているようです。

一度は入園のうえ、実際にジェットコースターに乗らないと申し訳ない気がします。

2019年11月2日土曜日

窪川駅


予土線と土讃線・土佐くろしお鉄道が合流する「窪川駅」です。

写真の「海洋堂ホビートレイン・かっぱ号」に乗車して、愛媛側からやってきました。

この駅では乗り換え時間に余裕があるため降車して、町をよく散策しました。

少し歩きますがお気に入りの古い喫茶店「茶房 淳」へ大抵立ち寄ります。

蔦が絡まった外観で何故か古びた入口が二つあります。

もともと2つだった店の壁をぶち抜いたのかもしれません。

室内も年季が入っていて、壁にかけたり貼ったり、棚に置いたりした物はもう何年も動かしてない風情です。

給仕をしている年配のマスターすら動いている気配を感じません。

決してコーヒーが流行るとも思えない人口の少ない土田舎で、店を続けてきた時間の重みが時を止めているように感じます。

メニューも昔のままでブレンドコーヒーとサンドイッチををよく注文します。

誰とも会話することなく座って食べるだけですが、いつも空間の大切さを教えてもらっています。

「古風」な雰囲気を作る技術はどんどん便利になっていますが、「本物」は一筋縄ではいかないと強く感じます。